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シンポジウム『誰ひとり取り残さない防災に向けて~SDGsの視点から考える』を開催しました
2019.04.10
3月24日(日)、神戸ポートピアホテルにて、関西SDGsプラットフォームと神戸市の主催でシンポジウム「誰ひとり取り残さない防災に向けて~SDGsの視点から考える」』を開催し、300人を超える参加がありました。
シンポジウムは下村 委津子氏(認定NPO法人環境市民副代表理事)の司会で始まり、開会挨拶では、井上剛志運営委員長(公益社団法人関西経済連合会理事・国際部長)と植松賢治神戸市国際部長が主催者挨拶を行いました。
基調講演では「自然災害から身を守るには」と題し、「おはよう朝日です」などに出演中の気象予報士であり防災士でもある正木 明さんからお話をいただきました。正木さんは趣味であるサーフィンを通じ、自然と人間の関わり、環境問題、防災へ非常に強い関心を持たれています。今回の講演では昨年関西を直撃した台風20号・21号の経験を踏まえて、日本の優れた台風進路の予測情報を積極的に利用することの重要性や、東日本大震災の津波被害を事例に先ずは自分が助かる「自助」と助かった一人ひとりが担う「共助」の重要性を気象予報士・防災士の視点から聴衆に訴えました。
続いて、パネルディスカッションでは、モデレータとして稲場 圭信氏(大阪大学大学院教授(人間科学研究科・共生学)(社会ソリューションイニシアティブ(SSI)兼任))を、またパネリストとして、村野 淳子氏(別府市共創戦略室防災危機管理課 防災推進専門員)、福島 直央氏(LINE株式会社 公共政策室 室長)、日比野 純一氏(特定非営利活動法人エフエムわいわい 理事)、ダニエル・レヴィン氏(世界銀行グループ 東京開発ラーニングセンター(TDLC)シニアマネージャー)の4名をお招きし、それぞれの活動紹介と意見交換を行いました。
村野氏は別府市の防災推進専門員であり、別府市の「ともに生きる条例」に障がいのある人のために合理的配慮に努めるという条項を盛り込むなどの仕組み作りや、障がい当事者や自治会役員と向き合い一緒に協議して個別避難計画を作り、避難訓練で検証し改善を重ねるという地道な取り組みを紹介されました。
福島氏は「地域フィールドラボ」を通じて神戸市が抱える防災のニーズに出会い、神戸市と協働したLINEの防災チャボット機能を利用した被災情報の収集と集約された情報を自治体が公助として活用する実証実験を説明し、人々が日常的に使用しているテクノロジーの防災への適用の可能性を紹介されました。
日比野氏は阪神淡路大震災の際に神戸市長田区からコミュニティ防災ラジオを通じて言葉の壁により生き抜くための正確な情報が受け取れない外国人に対して情報を提供した取り組みや平時からの多文化共生のまちづくり、インドネシアにおけるJICA草の根協力事業でのコミュニティ防災ラジオの普及活動とバックパック型ラジオ・ステーションの開発などの取り組みを紹介されました。
レヴィン氏は世界銀行が神戸市と連携し取り組んでいる防災をテーマとした「都市間パートナシッププログラム」、途上国におけるハード・ソフト両面の開発支援を紹介されました。とりわけ、日本はハードだけでなく、コミュニティレベルでの防災の取り組みでも世界の中で先駆的であり、世界が日本から学ぶことは多いとお話されました。
稲場氏は災害時に寺社が避難所として活用されている実態の把握と更なる地域や行政との相互協力の可能性、ITを駆使した「独立電源通信網みまもりロボくん」による平時の見守り機能と災害時の被災情報収集と災害救援マップ化の実験(民間企業との連携)を紹介されました。
防災においても企業による貢献として技術(テクノロジー)の発展とその革新的な利用の可能性が期待されること、その一方で災害時に現場では命を守るために「人と人のつながり」、それを活かすための平時からの地道な下地作りが不可欠であることを再認識するディスカッションでした。モデレータの稲場氏が、とりわけ、障がい者、高齢者、外国人など要支援者を含めて、SDGsが目指す「誰ひとり取り残さない」防災を実現するには、企業、大学、市民団体、自治体などの行政、そして市民一人ひとりがそれぞれの立場で取り組むこと、そして多様なアクターが連携し、英知を結集して取り組む必要があるとシンポジウムを締めくくりました。
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