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  • 資源循環を軸にした互助共助の仕組みづくりへの挑戦

    アミタ株式会社
    取締役 宮原 伸朗(みやはら のぶお)さん


1977年に創立し、廃棄物から資源製造を手掛けてきたアミタ株式会社は、7社のグループ会社からなるアミタホールディングス株式会社として急成長。資源循環を軸に、そこに暮らす人々のWell-beingを高めるサーキュラーエコノミー拠点を確立した互助共助の仕組みづくり、共創パートナーとの出会いと仲間づくり。そこから生まれる未来図をお聞きしました。

【共創の出会いは東日本大震災】
アミタグループ(以下アミタ)は2011年4月に東日本大震災の被災地である南三陸町に復興ボランティアとして入り、2014年にはバイオマス産業都市構想実現に向けた実施協定を南三陸町と締結しました。その後、復興ボランティア活動を共に行っていたNECソリューションイノベータ株式会社と、地域の課題解決と自律的で持続可能な地域社会づくりを行うことで意気投合し、2018年には「包括的資源循環の高度化実証実験」としてMEGURU STATION®の実証を行いました。その後、産業界のサプライチェーンにおける資源利用の全体最適を実現するために、「九州サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(K-CEP)」という企業連合を共に立ち上げ、北九州市にて10社以上の企業・団体と連携して使用済みプラスチックの回収実証実験「MEGURU BOX(めぐるボックス)プロジェクト」を実施しました。九州はアミタの拠点もあり一定規模の経済圏を有するアジアの玄関口でもあるため、まずはこのエリアで活動を行いながら、ゆくゆくは九州だけではなく全国に活動を広げていく構想も持っていました。


【共創のための「ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(J-CEP)」設立へ】
サーキュラーエコノミーは、市民と行政の協力なしには成立せず、特に市民から資源を回収する際には、法律との兼ね合いも考えなえればなりません。また単純にモノを循環させる仕組みではなく、もの・情報・気持ちがめぐる社会を実現したいという想いで、それまで活動していたK-CEPから2021年に「ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(略称:J-CEP)」として組織を拡大しました。
J-CEPでは、サプライチェーンの最適化を実現すべく、需要と供給の精度をより高め、モノの無駄が限りなく少なく、情報や気持ちにも社会的な価値が認められる最適経済圏を目指しています。それは、アミタが実践している「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」との親和性が高く、自治体等と連携しながら産官学民の実証を進めてきました。

目標は、廃棄物が出ないようにすること、廃棄物を資源として捉え、高付加価値の製品に変えること、そしてQCDを確立してビジネスとして社会実装すること。そんな中では苦労もあって、パートナー企業の中で社内が一枚岩ではないこともあります。アミタがサステナビリティ部門と事業部門の間に入ったり、直接経営陣に説明を行ったりする場合もありました。

【データによる効果の見える化ついて】
産業の変容と暮らしの変容の情報を活用できるよう、MEGURU STATION®では、来場者のスマートフォンアプリでチェックイン記録を取っており、「いつ・どのような人が・どのエリアから来ているのか」の情報を蓄積しています。現時点では、資源の回収量と品質との相関関係を調査していますが、将来的には、滞在時間や消費情報も集めることで、この地域における製品需要予測と行動予測を行い、企業と連携し無駄な製品製造・廃棄をなくしたり、自治体と連携し防犯・防災・見守り等に活用したり、企業・行政のサービス品質の向上に繋げていきたいと考えています。

【MEGURU STATION®は、いつでも資源ごみが出せて、滞在もできるコミュニティ拠点へ】
MEGURU STATION®のもう一つの特徴は、互助共助のコミュニティが醸成されることです。実際に、MEGURU STATION®を利用している人の57%の人が他の世代の人と会話する機会が増えたと感じています。また、アンケート結果によると、利用頻度が高い人は、「幸せを感じるようになった・気持ちが明るくなった・将来の楽しみが増えた」と回答する方が多くいらっしゃり、健康や幸福感への意識が有意に増加していることが分かりました。MEGURU STATION®を利用することで健康寿命の延伸に繋がれば、行政の社会保障費の負担軽減にもなります。現在は、医療や介護の領域だけではなく、育児や教育、防災等の領域にも効果があるかを検証すべく、社会的インパクト評価の定量化を行っています。
このように、資源循環をきっかけとして生活者のWell-beingを高める取り組みを行っていますが、これまで以上に企業、自治体、研究機関等の共創を促進していくために、2024年4月に「一般社団法人エコシステム社会機構(略称:ESA)」を立ち上げました。そして、J-CEPをESA内のサーキュラーエコノミータスクフォースとして発展的統合し、今まで以上に「循環」「共生」にかかわる社会課題に対して、企業共創によるビジネスモデルの構想・実証を実施していきます。もしESAの取り組みに興味をもって頂いた企業・自治体の方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。あらゆる人・モノ・自然・地域が、互いに補い・支え合う関係性のもと、多様な価値を発現できる自律分散・域内循環型の「エコシステム社会」の実現に向けて、共に活動していきましょう。

※協力:ローカルSDGs・脱炭素分科会

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